【タイトル】
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を、平凡な主婦が読んで家族をマネジメントしてみたら!?
【ストーリー】
二人の子供とサラリーマンの夫を持つ平凡な主婦が、ブックカフェのマスターから一冊の本を紹介され、家族をマネジメントする楽しさを知り、指導を受けながら理想の未来を創りあげていくという物語。
【登場人物】
カズミ(35歳・主婦)
・・・平凡な主婦が一冊の本と出会うことによって・・・?
ヨシオ(36歳・夫)・・・中堅会社総務部の平社員で遊んでばかりの夫。
ヒデト(9歳・長男)・・・サッカー大好き&勉強大嫌いな小学四年生。
ナオト(6歳・次男)・・・お兄ちゃんが大好きなピカピカの小学1年生。
ブックカフェのマスター
・・・税理士・FP・経営コンサルタント・双子のパパ。
【第三話】
カズミは晩酌で少し気分の良くなったヨシオに話を切り出した。
「ねぇ、私達結婚する前って、どんな話してたっけ?結婚したら何しようとか、どんな家族になろうとか・・・」
「え〜、なんだよ、急に」
「ううん、べつに。ただ、私達って結婚する前に思ってた『理想』に近づいてるのかな?って、何となく思ってさ・・・」
ヨシオは少し黙ったが、いつもとは違う優しさに包まれたカズミの様子に、少し気分良く答えた。
「そうだな〜、そう言われてみれば、多分、出世するとか、高給取りになるとか、子供達といっぱい旅行いくとか、子供をサッカー選手にするとか、そんな感じのことを言ってたかな?」
「マイホームを建てて庭でサッカーやった後BBQする!って言ってたよね(笑)」
「言ってた!言ってた!庭に『もみの木』植えてクリスマスツリーにするとか、家でホームパーティーするとか」
次から次へと、まるで新婚当時のように話は弾み、久々に心から楽しいひと時だった。
そして22時を回りビールも底をついたとき、カズミは「最も核心」である最後の質問を切り出した。
「その理想ってさ、もう叶わないのかな・・・?」
しばらく沈黙の時間が流れた。
さっきとは違うカズミの少し悲しげな表情に、ヨシオは少し酔いが醒め、今度は真剣に答えた。
「そんなこと無いよ。今だってその理想を叶えたいって思ってるよ。ただ・・・、」
「ただ?」
「ただ、俺自身、どうしたら良いのかわからないんだ。何をしたら良いのか。正直、今のままではいけないと思ってたし、子供達のためにもしっかりしなきゃって。ただ、どこから手を付けて良いのかわからなくて・・・、こんなこと誰にも話せないし・・・」
意外だった・・・。
ヨシオが悩んでいたなんて思ってもいなかった。
むしろ、なぜ今まで話を聞いてあげられなかったのか反省さえもした。
とっさにカズミは「ゴメン・・・」と答えた。
ヨシオにとってもその一言が意外だった。
いつもとは違う何かを感じとった。
そしてカズミは、ヨシオの目を真っすぐ見ながら優しく言った。
「あのさ、私ももっともっと協力するから、もう一度理想に向かって頑張ってみない?」
ヨシオは一瞬驚いたが、本当は望んでいたカズミの言葉に、
「そうだな、やってみるか!よし、俺やってみるよ!」
と力強く答えた。
そして最後にカズミはこう言った。
「明日ブックカフェ行かない?きっと何か見つかるからさ!」
>>第四話に続く
by マネジメント倶楽部