【タイトル】
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を、平凡な主婦が読んで家族をマネジメントしてみたら!?
【ストーリー】
二人の子供とサラリーマンの夫を持つ平凡な主婦が、ブックカフェのマスターから一冊の本を紹介され、家族をマネジメントする楽しさを知り、指導を受けながら理想の未来を創りあげていくという物語。
【登場人物】
カズミ(35歳・主婦)
・・・平凡な主婦が一冊の本と出会うことによって・・・?
ヨシオ(36歳・夫)・・・中堅会社総務部の平社員で遊んでばかりの夫。
ヒデト(9歳・長男)・・・サッカー大好き&勉強大嫌いな小学四年生。
ナオト(6歳・次男)・・・お兄ちゃんが大好きなピカピカの小学1年生。
ブックカフェのマスター
・・・税理士・FP・経営コンサルタント・双子のパパ。
【第四話】
ヨシオの話を一通り聞き終えると、マスターは言った。
「『想い』なんていうのは誰でも語ることはできるし何とでも言える。問題は『やる』か『やらない』か、ただそれだけのこと。本気で『やった』人しか夢や理想なんて叶わないと僕は思ってる。ヨシオさんが今想っていること、僕はやるべきだと思うよ。と言うより、やらなければいけないと思う。『想い』を人前で口に出した以上は。男として、父親として、ね?」
ヨシオの目が少し変わったのがカズミにはわかった。
マスターは続けた。
「僕が数年前にしたように、ヨシオさんも『決心』をするときが来たんじゃないかな?『逃げずに戦う決心』ってやつを。家族のため、何よりも自分のために」
ヨシオはしばらく黙って何かを真剣に考えていた。
そんなヨシオの表情を見るのはカズミにとって2度目の事だった。
それは10年前のプロポーズの時と同じ表情だった。
ヨシオは突然顔を上げ何かを言おうとした瞬間、マスターは口を挟んだ。
「言葉はいらないから行動でカズミさんに見せてあげて」
マスターには解かっていた。
ヨシオが『決心』したことを。
もちろんカズミも。
ヨシオは、冷たいハーブティーを飲みほし、すっきりとした表情で、
「また来ます!」と立ちあがった。
カズミは目に少し涙を浮かべながらマスターに会釈し、「新婚さん」のように仲良く店を出ていった。
1ヶ月後、カズミは報告を兼ね相談に訪れた。
「マスター、あれからね、ヨシオさん人が変わったみたいに頑張ってるんだ。資格とるんだ!って勉強始めたし。休みの日は子供とも遊ぶようになったし。マスターの一言が効いたみたい、本当ありがとう。だけど・・・」
「だけど?」
「うん、何かヨシオさんばっかり頑張って、今度は私が何をしたら良いのかな?って・・・」
マスターは優しく答えた。
「マネジメントするんじゃなかったっけ?」
−えっ!?
「カズミさんのマネジメントは今始まったばかり。本当の厳しさは、まだまだこれからなんだよ。」
「えっ、でも・・・、ヨシオさん頑張るようになったし・・・」
「今はね。でもその頑張りが必ずしも『成果』につながるとは限らないでしょ?『いかに成果をあげさせるか』これがマネージャーの本当の役割。ヨシオさんの頑張りが報われるよう、『成果』に集中できるよう、しっかりマネジメントしてあげて!大切なのは『頑張り』ではなく『成果』。書いてあったよね?」
−あっ!!
カズミは思いだした。
テキストの最後の方に書いてあった納得いかなったフレーズ
「努力より成果」
でも今はすんなり聞き入れる事ができた。
なぜなら、成果があがらなかったときのヨシオの顔が目に浮かんだから。
カズミの心に再び火がついた。
>>第五話に続く
by マネジメント倶楽部